原文: Additional masters for individual glyphs: the brace trick in Glyphs 2
旧バージョンのチュートリアル
執筆者: Rainer Erich Scheichelbauer
2024年6月12日更新(初版公開:2014年11月4日)
フォント全体ではなく、特定のグリフにだけ追加のマスターが必要になることがあります。ここでは、Glyphs 2でそれを行う方法を紹介します。
インターポレーションでは、2つのマスターを用意するだけで驚くほど上手くいきます。しかし、時にはその中間に特別なステップが必要になることもあります。もちろん、ブラケット・トリックや、特定のインスタンスでのみ有効になる代替グリフを使って、ある程度は擬似的に対応することもできます。しかし、グリフごとに多くのマスターを追加(そして再描画)する必要があるため、複雑になりがちです。
バージョンに関する注意
この記事はGlyphsの古いバージョンに関するものです。 Glyphs 3以降については、チュートリアル「中間レイヤー」をご覧ください。
ブレース・レイヤーを作成して名前を付ける
Glyphs 2では、「ブレース・トリック」と呼ばれるテクニックを利用できます。ブラケット・トリックと同様に、マスターレイヤーの1つをコピーして、その名前を調整します。これを行うには、パレットのサイドバー(Window > Palette, Cmd-Opt-P)を開き、「レイヤー」パレットで最初のマスターを選択し、「コピー」ボタンをクリックします。
新しいレイヤーの名前をダブルクリックし、ブレース・レイヤー名を入力します。名前の構造は次のとおりです。
任意の説明 {ウェイト値, 幅の値}
要するに、中括弧{}
の中に、カンマで区切られたインターポレーションの値をリスト形式で記述します。必要であれば、「Intermediate」のような説明的な接頭辞を付けることもできます。このレイヤーは、まさにそのグリフのためだけに、補間空間のまさにその位置に中間マスターを挿入する役割を果たします。例えば、Intermediate {120, 100}
という名前のレイヤーは、ウェイト軸の120、幅軸の100の位置でマスターとして機能します。
あとは、実際にレイヤーを描画するだけです。レイヤーパレットの右下にある歯車メニューから「再補間(Re-Interpolate)」を選択すると、作業をスムーズに始められます。これにより、ブレース・レイヤーに新しい補間結果が配置されます。注意してください、そこにあるものは上書きされます。

ちなみに、中括弧の片方を削除したり、中括弧の間に接尾辞を書いたりすることで(例:Intermediate {90, 100 off}
)、ブレース・レイヤーを一時的に無効にすることができます。レイヤーがアクティブか非アクティブかは、編集タブのプレビューセクションにあるインスタンスのポップアップメニューから「すべてのインスタンスを表示(Show all instances)」を選択することで確認できます。
例
典型的な使用例は、LightからHeavyへ補間される小文字の「e」です。ミディアムウェイトまではステム(縦画)は均等に太くできますが、ヘビーウェイトになると横画は縦画ほど速く太くすることができません。LightとBoldのマスターしかない場合、横画が早々に細くなりすぎてしまいます。eの中央のバーに注目してください。

このおかしな補間は、このグリフに中間マスターを追加することで修正できます。前述のように、わかりやすい説明的な名前と適切なウェイト値を持つブレース・レイヤーを追加します。幅の値はデフォルトのままで構いません。この例では、Intermediate {90, 100}
となります。

これで、このグリフのためだけの追加マスターができ、eの補間が格段に良くなりました。外側のマスターは同じままで、中央のバーがどれだけうまく振る舞っているか見てください。

以上です。ハイタッチ!
更新履歴 2022-07-19: タイトル、関連記事、軽微なフォーマットを更新。
更新履歴 2024-06-12: 「中間レイヤー」チュートリアルへのリンクを追加。
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